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2009年06月09日
 G2

サミット構成国G6がG7からG8になり、気がついたらいつの間にかG20なる国際会議までが催される時代になった。

そもそもG6とはGroup of Six のこと。 1975年、フランス、ランブイエ城に集まったサミットスタート時の主要6ヶ国を表す時に生まれた。

主に経済力からみた先進6ヶ国のことで、わが国も、米、英、仏、独、伊と肩を並べる当初からのグループメンバーであった。

中国は、核保有国で、国連常任理事国(G5)の一角にいながら、経済的にはまだ貧しい発展途上国として、被援助国に属していた時代である。

当時は中国よりは台湾や韓国の方が、よほど勢いがあった。

面白いことに、冷戦下の西側主要6カ国は、第二次世界大戦の敵国同士が3カ国ずつ綺麗に揃っていた。

連合国側G3の米、英、仏と、枢軸国側G3の日、独、伊である。

壊滅的打撃を受けたはずの枢軸側G3は、東西冷戦構造G2のはざまで奇跡的に息を吹き返し、1970年代には、いつの間にか経済大国に成長していたのである。

確かに、1970年当時、西ドイツを旅した時、親切にしてもらったドイツ人から、「日本とドイツが今組めば、今度は絶対に連合国に勝てる!」と云われて仰天した覚えがある。新たなG2結成の提案であった。

日本は西側主要国の一つと呼ばれたが、「極東」の国が、自らを「西側(GW)」と称することに奇妙な感じも抱いたものだ。

当時は冷戦期も後半に入り、軍事大国ソ連の経済的凋落も顕著になり出した頃でもあった。

日本は何となく世界を動かす誇りあるG6の一角にあることを自覚して、それなりに張り切っていたような気がする。

ところがこのところ急に「G2」という記号が頻繁にマスコミに登場するようになった。

米国と中国2国のことである。

G8だ、G20だとか云わずとも、G2だけで片がつくことが増えだしたという。

今後はG2が世界を仕切るとでも言いたげな議論である。

経済力、軍事力等総合的国力において21世紀中盤以降はG2の時代だということは多くの見方が一致する。

つい最近まで経済援助の対象国だった隣国に、あっという間に追い抜かれた感や、米中G2の頭越し接近等を目の当たりにして、日本国内の反応も複雑ではある。

「追いつき追い越せ」の時代、数々の定量的経済指標においてヨーロッパ諸国を追い抜き、都度、日本は悪くはない気分を味わってきたことは事実である。

追いつき追い抜くことに慣れてきた日本の精神文化の底流にあった誇りの感覚が、中国の台頭によってまったく逆の気分を味わされることになった。

その反動からか、日本再生論、物づくり大国復活論から、早期に国連常任理事国入りを目指せとか、交戦権を可能にする憲法改正論や、ついには核武装論まで出始めた。

そのイライラを募らせる元が北朝鮮の強行姿勢である。

6ヶ国(G6)協議では事態が膠着したままだ。


NODEということばをご存知だろうか。

結節点とか結び目のことだが、多くのことが系として互いに連関し合って存在しているさまを表す。

ある一つの現象はほかの多くの事柄と蜘蛛の巣のようにNODEでむすびついて在る。

もし、一つのNODEが自律的に動きを始めたら、結びついている多くのNODEもまた一緒に連なって動き出す。

一つひとつのNODEはそれぞれ違う思惑や水準を秘めており、一つのNODEの思いどおりには動けない。

無理に動こうとすると、予期せぬとんでもないところに追いやられたりする。

私は大学の授業では、「社会のNODEとしてのデザイン」というテーマで講義している。

デザイナーがどんなに独創的なアイディアを提示したとしても、それを成り立たせる様々な社会的、産業的なNODEが支えきれないと、とても実現など出来ないのだという現実を教えている。

レオナルド・ダ・ヴィンチが史上まれに見る大天才であることは誰もが認めるところだが、彼の考案した、ヘリコプターも戦車も飛行機も、何一つとして彼の存命中には実用化はならなかった。

1500年前後のヨーロッパの産業レベルでは、当時存在していたどんなNODEもそのアイディアの実現を支え切れなかったからである。

例えばガソリンエンジンはおろか、まだ蒸気機関さえ存在していなかったし、軽量素材も接合技術も、金を出すスポンサーを説得するすべもなかったのである。


前置きが長くなったが、日本の核武装などは、技術的には可能であっても、このNODEの考え方で概観してみれば、実現はほぼ不可能であって、現実味はない。

国際政治バランスがその着手と同時に、連なって大きく動き出すからである。

東アジアに大きな緊張が生まれ、近隣諸国も、アメリカもとてもそのまま容認するわけがない。

これまでとは全く違う位置付けが、蜘蛛の巣のように張り巡らされたNODEを、大きな音をきしませていっしょに変動し出すのである。

G2の圧力があり、G6もG8もG20もきしみ出すに違いない。

G12で始まったEUも、今ではG27の大所帯となり、正確な国名をあげるのも難しい。

直近の欧州議会選挙では、欧州統合に反対する極右勢力が各国で勢力を伸ばし、「G」の理念も危ぶまれ始めている。

アメリカ合衆国の建国も最初はG13の州から始まったが、G2に別れて南北戦争を戦うはめになった。

歴史は様々な「G」のきしみの足跡である。

NODEを単純にグループ分けしたところで、1つ2つの思惑だけでことが運ぶほど甘くはないことを示している。


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