2012年元旦、あけましておめでとうございます。
昨年大阪市長になった橋下氏が、「不連続性への挑戦」と言い出しました。
当然同志である大阪府知事も同調していますし、東京都の石原知事も支持を表明しています。
愛知県と名古屋市での動きを含めると、日本の3大都市圏で始まった「不連続性」とはいったい何を意味するのでしょうか。
「不連続性への挑戦」とは、中央集権を担う官僚システムと地方の、硬直した「一貫性と継続性」という名の支配構造に対して、破壊的改革を断行しようという運動のスローガンのようです。
長引く停滞感と社会の衰弱感から抜け出したいとの国民の鬱積した感情が背景にあることは明らかですが、「一貫性と継続性」の象徴としての官僚機構に対する嫌悪感が充満しているようにも思えます。
さて私が昔専攻した生命科学と、今生業としている組織のアイデンティティ論から観ると、生体も組織体も実はそれぞれの一貫性と継続性を保持する営みで成り立っています。
生命維持とは、まさに奇跡的に出来上がった危うい内部システムを必死で保持しようという営みに他なりません。
言い換えれば前の日と同じ事を繰り返すことこそが大事な価値なのです。
官僚組織とは、まさにその「一貫性と継続性」を維持するための必須の仕組みです。
官僚が、書いてもいない制度や決まりを勝手に変えたのでは大変なことになります。官僚とは書いてあることに従って「一貫性と継続性」をひたすら守ることを使命とする高度な専門職なのです。
だからこそ、明治維新の直後には江戸幕府の役人が登用されましたし、第二次大戦直後の新体制保持に徴用されたのも戦時体制を維持した官僚たちでした。
ソ連からロシアに変わったときにも旧体制の官僚が多数かかわったといわれています。
結局官僚制とは、無言の体制維持装置であり、アイデンティティを維持する仕組みでもあるのです。
ただ、歴史は「革命的体制変化」によってこそ旧弊を克服しながら進化してきたのも事実です。
DNAに突然変異が起こり、環境変化にしぶとく適応しながら生き延びてきた生物進化の流れを見るまでもなく、不連続な変異は生体や組織の進化には不可欠です。
総合して考えると、一見勇ましく聞こえる「不連続性への挑戦」とは、連続性を遮断することだけを目的化してはうまくは行かないでしょう。
「不連続性への挑戦」とは、要は今の体制に変わる、次の「一貫性と継続性」を保持すべき新たな体制への挑戦でなければなりません。
それこそがアイデンティティ戦略の要諦です。
SHIFT創業以来のスローガン「Generativity(=次世代価値創造への積極的関与)」とは、まさにそのことを意味します。
SHIFTは創業21年を迎える今年も「一貫性と継続性」を保持するに足る新たなアイデンティティを創るお手伝いを続けます。
本年もよろしくお願いいたします。
2012年元旦
株式会社SHIFT
小田嶋孝司
